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頭皮の手入れが行き届いてこそ毛髪は健康になれる

健康で美しい髪を保ちたい、取り戻したいというとき、それはどんな髪をさしているのでしょうか。

ボリュームがなくペッタリとしている髪、植毛や切れ毛が多く、パサパサ、バラバラとしている髪は、どう見ても美しく感じられません。抜け毛がひどい場合ももちろんです。

人それぞれものの見方、考え方は違っても、「美しい髪、健康な髪というのは、つやつやして張りやコシのある髪である」という見方に大きな違いはないでしょう。つまり、手入れが行き届き、何のトラブルもない髪です。

というと、頭皮の表面に出ている部分の髪だけを大切に考えてしまいがちですが、いちばん大切なのは頭皮の手入れです。

頭皮は、からだの中でも皮脂量が多いため、細菌が繁殖しやすく、かゆみも起こりやすいところです。手入れを怠れば、毛根に皮脂がつまって新陳代謝の妨げになります。

頭皮の血行が悪くなれば、毛根に必要な栄養分が供給されなくなって抜け毛がひどくなります。

頭皮は、毛髪を育てる大地です。この大地に水分や栄養分が十分に行き渡ってこそ、草木である毛髪はじょうぶで美しい姿になれるのです。健康で美しい髪をつくるには、頭皮の手入れから始めましょう。

毛髪は心身の健康状態を反映する

食事でとった栄養分は、第一に、生命の維持に直接かかわる心臓や脳、肝臓、腎臓などの器官で使われます。

また、からだのどこかに障害が起こったり疲労がたまっていたりする場合には、その部分を修復するために、栄養分が消費されます。

これに対して、同じからだの一部であっても、生命の維持に真っ先に影響するわけではない部分、例えば髪やつめ、皮膚などに栄養分が回ってくるのは、心臓や脳など重要な部分に十分に栄養分が行き渡ってからです。

ということは、髪やつめ、皮膚など、最後に栄養分が回ってくる部分に元気があるときは、からだ全体が健康であると言えるわけです。

髪は、からだの健康状態を側るバロメーターであるだけでなく、心のコンディションも知ることができます。

例えば、ストレスがたまってくると、抜け毛が増えたり毛が絹くなったりして、髪が薄くなってしまうことがよくあります。

発毛や育毛にもブレーキがかかりがちです。ところが、そんな状況でも、ストレスが解消されると、しだいに抜け毛は止まり、発毛が促されます。

このように、毛髪はからだだけでなく心の健康状態を正直に反映する「ものさし」のようなものなのです。毛髪の異常が全身性疾患や心の病気のシグナルになることもあるだけに、美容面だけにとらわれているわけにはいきません。

血流が悪くなると毛髪は育たない

言うまでもなく、毛髪を切っても出血することはありません。頭皮から外に出ている毛幹部の細胞がすでに死んでいて、血管が通っていないためです。

しかし、頭皮の下にもぐっている毛根部のいちばん奥にある毛乳頭には毛細血管が入り込んでいて、毛乳頭や毛母細胞に栄養分を運んでいます。

その点は、全身の細胞と同じです。つまり、毛髪にも栄養分が必要で、髪が育つかどうかは血流にかかっているのです。

血液や血管、血流は、全身の健康状態を左右します。糖尿病や高血圧症、高脂血症(脂質異常症)など、生活習慣病といわれるいくつかの疾患を見てみても、いずれも血流と深い関係があります。

毛髪の健康は、これらの疾患ほど重大視されませんが、血流と深くかかわっているという点では変わりはないのです。

血流を悪化させる要因には、ストレスや睡眠不足、栄養不良、喫煙などがあります。

こうした血流を阻害する要因が重なると、髪は成長することができずに抜けてしまいます。

全身状態が健康で、血涙にも問題がなければ、毛髪をつくる毛乳頭や毛母細胞にも必要な栄養分が十分に行き渡り、髪の成長が促進されます。

美しく健康な髪を育てるには、血液を悪化させる要因を取り除くことが大切なのです。

毛髪には脳や頭皮を守る役目がある

髪が薄くなってしまうと、外見だけでなく、困ることがいくつかあります。髪にはいくつかの重要な役目があるからです。おもなものを紹介しましょう。

一つは容易に想像がつくように、脳や頭皮を外部からの衝撃から守る役目です。何かにぶつかったとき、髪がクッション代わりになり、脳や頭皮を守ります。

二つめは、脳を暑さや寒さから守る役割です。脳は、生命活動の中枢です。その脳に、高温や低温の影響による損傷が起こると、生命そのものが脅かされかねません。

第三に、毛髪には、からだにとって有害な物質を体外に排出する作用があります。体内には、食事などによって、水銀や鉛、アルミニウムなどの有害な物質がとり入れられてしまいます。これらの有害物質が体内に一定量を超えて蓄積されると、健康上の問題が起こってきますが、からだは自らの健康を守るために、これらの有害物質を髪や体毛、汗を通して体外に排出しているのです。

さらに、頭皮との関係では、紫外線から守ったり皮脂を供給したり、保湿する、といった役目も果たしています。

このように、髪は私たちのからだを外からの衝撃や、体内に侵入してきた有害物質の攻撃から守ってくれる重要な存在です。これほどからだの健康と深い関係があるにもかかわらず、現実には髪が抜けて薄くなったり、細く弱くなるという問題が起きています。そこには、からだのどこかに抜け毛や薄毛などを引き起こす原因が潜んでいるからです。

髪が薄くなってしまうと、「年のせい」だとあきらめてしまう方が少なくありませんが、実際はほかに抜け毛や薄毛の原因がある可能性も大きいのです。「もう、このままでいい」などとあきらめず、自分のからだを守ってくれている大切な髪にもっと関心を持ち、抜け毛や薄毛の原因に合った正しい育毛法を実践し、張りのある元気な髪を取り戻したいものです。

毛髪には一定のヘアサイクルがある

毛髪にも寿命があります。放っておけば、際限なく仲びていくわけではなく、寿命が尽きれば自然に抜けていきます。しかし、抜けてから3か月ほどすると、また新しい髪が生えてきます。こうした髪の成長サイクルをヘアサイクル(毛周期)といいます。

髪は、毛母細胞が刺激を受けて分裂を繰り返し、成長を始めます。これを成長期といい、男性で3~5年、女性で4~6年と言われています。男女間の違いは、女性ホルモンに髪の成長を促す作用があるために起こります。成長期には、毛母細胞のタンパク質が変化して、硬く張りのある髪として伸びていきます。成長期の終わりころには、毛根は皮下組織にまでしっかり根を下ろしています。

やがて、毛髪の成長が鈍くなる移行期に人ると、毛球部は硬く小さくなり、毛母が毛乳頭から離れ、頭皮の表面近くまで上ってきます。この期間は約3週間です。

移行期が終わり、完全に髪の成長が止まると休止期(約3か月)です。古い髪の毛球が頭皮の上へ上がっていき、髪は抜け落ちます。それと同時に、毛根部では、新しい毛母と毛乳頭が一体となって、発毛の準備が始まります。

このように、毛髪は、1本1本が独立したヘアサイクルを持っており、独自に生え変わっています。休止期に入れば、髪が抜けるのは自然なこと。1日に90本程度抜けるのが平均的です。毛穴の中が健康な状態ならば、毛が抜け落ちると同時に、新しい髪の成長が始まります。

ところが、ストレスや栄養不足、男性ホルモンの影響などでヘアサイクルが乱れることがあります。休止期を迎える髪が増え、こうした移行がうまくいかなかったり、新たな発毛が起こるまでの期間が長くなる場合があります。すると、髪の数が全体的に少なく、薄い状態になってしまうのです。

毛髪は毛根で育てられる

毛髪を草木にたとえると、頭皮はそれを支える大地である。では、頭皮の下にもぐっている毛根部はというと、この部分は草木の根にあたります。根がしっかりはっていなければ植物が十分に育たないように、毛根が丈夫でなければ、表面に出ている毛幹部の成長も望めません。

頭皮の下の毛髪、毛根部は表皮が落ち込んだような形の毛包に包まれています。毛根のいちばん奥にある毛球には、毛乳頭というくぽみと毛母など、さまざまな組織があって、毛髪をつくり出すために働いています。毛乳頭には毛細血管が入り込み、毛髪の原料となる血液中のアミノ酸やミネラルなどの栄養分を運んできます。

また、毛母では、毛髪の組織となる毛母細胞が生まれます。この毛母細胞は、髪の製造工場ともいえる部分で、毛乳頭から運ばれてきた栄養分からの指示を受けて細胞分裂を繰り返し、やがて毛髪が誕生します。

毛髪の健康やヘアケアについて考えるとき、とかく目に見える毛幹部にだけ関心が集まりがちですが、健康で丈夫な毛髪を育てるには、毛髪を生み出し育てる毛根にダメージを与えないように、注意する必要があるのです。

傷ついたキユーティクルは元に戻らない

頭皮の表面から外に出そいる毛幹部の細胞はすでに死んでいるので、いったん傷ついたら再生することはありません。つまり、はがれたキユーティクルはー度と元には戻らず、髪が生え変わって出てくるのを待つ以外にないのですキユーティクルは、無理なブラッシングやシャンプー、パーマ、ヘアダイ、紫外線、ドライヤーの熱など、さまざまな刺激によって傷つき、はがれます。そうなると、髪の保水力が落ちるためにパサついて枝毛が増えたり、タンパク質が失われるのでうるおいや張りもなくなってしまいます。

こうした理由から、「キユーティクルを保護して髪をつややかに保つ」といったことばが、シャンプーなどのコマーシャルで頻繁に繰り返されるのです、

いったん傷ついたキユーティクルは元に戻らないとはいうものの、伸びた髪をカットして、新しい毛髪に生え変わらせれば、キューティクルに包まれた健康な髪になるわけですから、心配することはありません。しかし、無理なブラッシングなどを繰り返し、ヘアケアを怠っていれば、再び髪を傷めてしまいます。それは、頭皮の健康にも好ましくありません。

つやのある美しい髪を保つには、キューティクルを人切にする必要があります。それが、ヘアケアの基本です。

毛髪はのり巻きのような3層構造

毛髪は、頭皮の表面から外に出ている部分(毛幹部)と頭皮の下にもぐっている部分(毛根部)に分けられます。毛根部は生きている細胞でできていますが、一般に「髪の毛」と呼ばれている毛幹部はすでに死んだ細胞でできています。そのため、毛幹部は一度傷つくと、髪の毛自体に治癒する力がないため治りません。

人間の毛髪は約10万本。その1本1本の毛幹部は、のり巻きのような3層構造をしています。中心部のかんぴょうやキュウリにあたる部分は毛髄質(メデュラ)、その外側のごはんに該当する部分は毛皮質(コルテックス)、そしていちばん外側は毛小皮(キユーティクル)と呼ばれ、のりのようにグルッと全体を巻いています。

この3層のうち、髪の傷みと関係が深いのは表面を覆うキユーティクルです。キユーティクルは非常に丈夫ですが、いちばん外側にあるだけに損傷を受けやすいところです。キユーティクルは、1枚の平板な膜ではなく、ウロコ状のものが上(髪が伸びていく方向)を向いて何枚も重なり合ってできており、内側の毛皮質に含まれるタンパク質や水分が流れ出ないように守っています。

しかし、キユーティクル自身は摩擦に弱いので、強い力でブラッシングやシャンプーをするとはがれてしまいます。特に、ウロコ状の重なりの向きと逆にブラッシングする、いわゆる逆毛立てをすると、傷みが非常に激しくなります。キユーティクルがはがれたり傷んでしまうと、内部のタンパク質や水分が流れ出したり、はがれた部分から髪が枝分かれして、枝毛や切れ毛になってしまいます。

頭皮は毛髪を育てる大地

草木が生き生きと元気に育つには、水分や栄養分たっぷりの土にしっかりと根をはる必要があります。これは毛髪についても同じです。毛髪が草木だとしたら、頭皮は土台になる土です。じょうぶで美しい毛髪を取り戻し、それを維持するには、頭皮の健康状態がカギを握ります。

毛髪を育てる大地である頭皮は、全身の皮膚と同じように、外側から表皮、真皮、皮下脂肪組織という三つの層でできています。このうち、真皮の中にある皮脂腺というところでは皮脂がつくられています。

皮脂のおもな成分は中性脂肪。ほかにスクアレンやワックス類の脂も含んでいます。皮脂は皮脂腺でつくられ毛穴から分泌されるので、毛穴のない手のひらや足の裏からは出てきません、そのため、手のひらや足の裏は、冬になって空気が乾燥してくるとカサカサしがちです。

逆に、毛穴の多い部位、つまり頭皮や顔、背中、胸部などからは、皮脂が盛んに分泌されます。分泌された皮脂は、皮膚表面を覆って保護する役割があるのですが、その分泌量が多すぎる場合は脂性肌、少なすぎる場合は乾燥肌と呼ばれ、どちらもさまざまなトラブルのもとになります。

頭皮の皮脂も、からだのほかの部位と同じように、頭皮を保護し、適度な潤いのある状態を保つ役目を果たしています。そのおかげで、大切な髪を守り育てることができるのです。しかし、頭皮からは、からだのほかの部位に比べて、皮脂が多く分泌されています。毛穴の数が多く、密集しているためです。それだけに、ケアが適切でない場合には、トラブルが起こりやすくなります。